「自己改革カウンセリング」を受けられた上野さおりさんの体験談を、シリーズ(全4記事)でご紹介しています。
今回は2記事目になります。
【体験談①】なぜだか止まらない涙
【体験談②】長年の自己否定の原因は幼少期の記憶 ←今回
【体験談③】発見したトラウマの克服方法と今後の決意
【体験談④】2年前、思い描いた「理想」を現実に
「仕方がない」と考えることを放棄。感情がマヒしていた
「もう、このつらい日々を繰り返したくない。自分や家族のためにも」と藁にもすがる思いで申し込んだ日から数日後。
ふくださんによる心理セラピーが始まった。
「3カ月間で本当に変われるのだろうか……」正直不安だったが、「私次第だよね。真剣に取り組んでみよう」と前向きに気持ちを切り替えた。
まずは、最近の気持ちや自分の仕事について振り返るところからスタート。時系列で1日のスケジュールをノートに書くワークをした。
ノートに書きだすと、なんとなく過ごしていた日々が可視化され、
・通勤に往復約2時間以上
・平日は仕事と家事と育児で埋め尽くされている
・休日は溜まった疲れを取ることで過ごしている
ということが分かった。
ふくださんに「自分の自由に使えている時間はこの図からはあまりないですね。見ていてどのように感じますか?」と聞かれた。
(どのように感じますか、って言われても……)
正直戸惑った。そもそも「感じる」ってなんだろうか?
昔から自分の意見や思うことを聞かれるのが苦手だった。「なんて答えたら正解なのだろうか」と考えて困ってしまうのだ。
とりあえず私は、
「うーん……。私だけじゃなくて育児中のママは当たり前のスケジュールだと正直思います。仕方がないな」と答えた。
「母親で仕事をするのは、みんな大変。仕方がない」と一切疑問に思わなかった。
確かに疲れてヘトヘトになるけど、みんな一生懸命がんばるのが当たり前だし、と。
けど、ふくださんは
「みんながやっている=当たり前のこと」では決してない。「自分は充分がんばっていると気づき、認めることが大切」だと言った。
「え?」とびっくりした。一人じゃ気づかなかった視点だ。
片道1時間かかる職場も、「育児中の自分を受け入れてくれる職場」で、ありがたいなと思い、「遠くても仕方がない」と思っていた。
派遣社員で職場はいつでも変えやすいのにもかかわらず、だ。
「例えば職場を変えると、もっと自分の時間もできますよね」と言われたが、「いや、せっかく仕事をさせてもらっているのに退職したら申し訳ない」と瞬時に思った。
「自分で入社を決めておいて、無責任であり得ない」とも。
この時、自分の置かれた環境を「当たり前で、どうすることもできないと信じて疑わない自分」がいた。
そんな私を見てふくださんは、「思考で考えている時は、感情で分からない」と教えてくれた。
「まずは自分の空白時間を過ごす時間をとりましょうか」と次回までの課題となった。
この時の自分を振り返ると、「自分の感情がマヒしていた」と今は冷静に思う。
「自分の感情は無視して過ごしていること」に気づかなかった。
自己否定の最大の原因は、子どもの頃の記憶
自分の空白時間を意識的にとるようにして数日。次のセラピーの日になった。
自分と向き合う時間を取ると、確かにリラックスするようになった。
けれども、「疲れた」「会社に行きたくない」といったネガティブな思いに気づきやすくなった。その度に、ズーンと暗い気持ちが胸に立ち込める。
そのことを、素直にふくださんへ伝えた。
また、
・仕事でミスしたことを責めてしまう
・周りに迷惑をかけている気がして怖い
・すぐに悩んでしまい、ネガティブな気持ちに支配される
など、「何をやっても自分はダメ」と長年思ってしまうことも。
ふくださんは、その話を受け止めた後、手首のあたりに手を添えて、何かを読み取った。「潜在意識テスト」といって、私の潜在意識の情報を読み取っているらしい。
原因を知るヒントになるみたいだった。
すると、
・アレルギー体質、敏感体質
・親の離婚、両親の不仲
といったキーワードを伝えてくれた。
キーワードを聞いた瞬間、正直ドキッとした。
両親は離婚していないけれど、離婚という言葉が飛び交うほど仲が悪かった時期があった。私が中・高校生の頃、経済的な問題で、両親はケンカをすることが増えていた。
次第に母親はうつ状態になって、メンタルが不安定なことが増えた。機嫌が悪いと、私や妹を怒鳴りつけたり、泣き出したり……。
「あんたはのん気でいいよね!私の気持ちなんて知らずに……」
「やっぱりあんたはバカだよね」
色々なことを言われたけど、「仕方がない」と思っていた。
母だって、苦しいのだ。それに、私は成績優秀な妹とは違って成績も平凡だったし、物事に対しても不器用だったから。
母の泣く声、ケンカで聞こえてくる怒鳴り声、家の中の重たい雰囲気……。
私は「今どうしたらいいのだろうか?」といつも考えて、
・「怒らせないようにしなきゃ」といつもビクビクして、母の顔色を見ていたこと。
・「私ががんばらなきゃ」と誰にも相談せず、勉強も、家事もがんばっていたこと。
・テストの点数や成績があがったり、料理を手伝ったりすると少し喜んでくれたけど、悪いとまた機嫌が悪くなったこと。
・「期待に応えられない自分には価値がない」と思ったこと。
キーワードから、さまざまなことを芋づる式で思い出した。
そして、決まって「やっぱり、私はダメな人間だ」と思っていたことも。
胸のあたりが、苦しくなった。
そして「今悩んでいることと一緒だ」と気づき、衝撃だった。(この出来事が、今も影響していたのか…)
ふくださんは、「悩みは悪ではなく、自分にとってのお知らせ」だと教えてくれた。
自分の生き方を考えるきっかけになるのですよ、とも。
「当たり前」と「正しさ」がもたらしていた不幸
次のセラピーでは、「自分にとって大切・必要なもの」と「譲れない考えを書きだすワーク」をした。
すると、同じようなニュアンスのキーワードがいくつかあった。
・人の役に立つ自分でいたい
・人から認められる自分でいたい
・人に迷惑をかけてはいけない
・お金はたくさんないと不幸になる、そのためにどんなことでも一生懸命仕事をする
一見、素晴らしいことだと思う。
かつて、私の中では「当たり前」で「正しいこと」だった考えだ。
だけど「その項目の左側に、自分を幸せにする考えか?不幸にする考えか?を考えて書きましょう」とふくださんに言われて書いてみた。
すると、「不幸」と記入した項目が占めていたものに共通しているのが、自分ではなく「人の目」を気にしていること。
つまり、「人の評価に左右されている」のだ。
この思い込みこそが、私を不幸にしていたのだと理解した瞬間だった。
また、「過去に親と接する中で、無意識にできた考え」だと気づいた。
それが、長年ついて回る「自分はダメだ」に繋がっているのだ、と点と点が繋がった。
セラピーを受けても「変われないかも」と怖かった
その後、衝撃だったけど「悩みの根本の原因」が分かったことで、少し冷静に自分のことが客観視できるようになった。
だけど、日常で「自分はダメだ」の感情に何度も溺れそうになっていた。
セラピーを受けることで、感情によりフォーカスする日々になったせいか、ネガティブな気持ちに気づきやすくなった。
ある日職場で仕事をしていて、ミスをしたことがあった。「迷惑かけてしまった……」と落ち込んだ。
その時、新入社員の頃、仕事が上手くいかずに先輩にいじめられていた記憶がよみがえった。
「あなた、病気なんじゃないの?」と言われて無視された日々。
親に「やっぱり、あんたはバカだね」と言われた日々。
フラッシュバックしてつらかった。
これは、どうしたらいいのだろうか。
「私は変われるのだろうか?」と自分に対して不安や疑いの気持ちがぐるぐる。
(次のセラピーで、解決策をふくださんに聞いてみよう……)
あの時、私は「変われる予感」と「変われない予感」のはざまにいた。
(そっか、「自分と向き合う」って大変なのだな……)
これまで避けていた、自分の感情を「感じる」ということ。
人生で初めて、真正面から向き合っていた。
だけど、時々やってくる感情の波は少しつらかった。
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繊細ゆえの生きづらさを
終わらせる
「こころセラピー福」では、『繊細さを豊かさに』をコンセプトに、生きづらさを感じている方が安心感のある揺るがない心の基盤を持ちながら自分らしい人生を送れるようお手伝いしています。
2通拝見させて戴きました。
ご卒業なさったクライアントさんのほうが、真剣に、ご自身と、向き合われていらっしゃったように、思いました。
まだ、私は、感情が、よく、解らないので。
人の目を気にするところ、完璧主義、~べき思考。
苦労は、皆がしているから、当たり前。との思考。
育った、ご環境。
心療内科・精神科受診。薬が、効かなかったこと。
色々、似ているな。と、思いました。
心理セラピーで、変われる予感と、変われない不安の狭間との箇所では、涙ぐみそうになりました。
今の私の気持ちも、そうだからです。